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川まるごとが「平成の名水百選」

徳島県の東南部、高知県境にほど近い湯桶丸(標高1,372m)東面に源を発し、海陽町を流れて紀伊水道に注ぐ海部川(かいふがわ)は、流程36kmの2級河川です。
上流から河口まで淀みなく続く、清冽な流れは、アユやアマゴをはじめ、ウナギ、テナガエビ、アユカケ、モクズガニなど、多様な生き物を育んでいます。
河口部は “Kaifu Rivermouth” と呼ばれる有名サーフポイント。玄人サーファー垂涎のチューブが発生することで知られています。
河口北側にのびる全長4kmの大里松原は室戸阿南海岸国定公園の一角をなし、こちらは「日本の白砂青松百選」に選ばれています。
とりわけ、6月に解禁されるアユ釣りは、海部川を代表する夏の風物詩。天然遡上の元気アユは “海部アタリ” とも称される電光石火の一撃で、遠来の釣り客を含め、大勢の友釣りファンを惹きつけて止みません。
釣り好きとして知られる作家・夢枕獏さんのエッセー集『本日釣り日和-釣行大全日本編

(中公文庫 ISBN4-12-203840-5)』の中の一編『海部川純情釣行』に、こんなうれしい一文が載っていましたので、一部を引用してご紹介します。

以前から行きたかったのが、四国の海部川である。
ぼくにとって海部川というのは、何年も前から幻の川だった。
かなりの昔から〝四国にきれいな川があるらしい〟というのは知られていた。
(中略)しかし、それにしても海部川の水の美しさはただごとではないのであった。

毎年、清流を自慢する地元有志の会による、川の名を冠した手づくりの釣り大会『だぁ!海部川ごみ拾い&鮎釣り大会』も開催されています。釣りをしながらごみを拾って、川をきれいにすることが検量の条件になる、すこぶる環境に優しい釣り大会です。

折り紙つきの清流で、みなさんも一度いかがですか? 鮎釣り。

注)「だぁ!海部川ごみ拾い&鮎釣り大会」は2023年をもって終了しました。

注)「だぁ」は地元の方言で「そうそう」とか「おっしゃるとおり」と同義の肯定表現。